特集|各診療科と研修の魅力
佐野厚生総合病院 産婦人科

峯積 拓巳

佐野厚生総合病院

大きなチャレンジができる栃木県で
産婦人科医療に貢献できる“パイオニア”を目指して

佐野厚生総合病院 産婦人科
峯積 拓巳(みねづみ・たくみ)先生
出身地:栃木県日光市(旧・今市市)
出身大学:福島県立医科大学医学部(2016年卒)
認定医・専門医:日本産婦人科学会専門医

手術のダイナミックさや雰囲気の良さに惹かれ、産婦人科に入局

私は「栃木県医師修学資金貸与制度」を利用しているため、大学卒業後は栃木県に戻り、「芳賀赤十字病院」で初期研修を行いました。3年目に自治医科大学の産婦人科へ入局し、「自治医科大学附属病院」や派遣先の「佐野厚生総合病院」「上都賀総合病院」で研鑽を積み、産婦人科専門医を取得しました。その後は「佐野厚生総合病院」「栃木県立がんセンター」と、栃木県内での勤務を続け、2023年10月から再び「佐野厚生総合病院」に勤務しています。
大学生のころは小児科を目指していたのですが、初期研修で産婦人科を経験した際、出生前の段階から診療ができるという特性や帝王切開のダイナミックさに魅了され、産婦人科に興味をもちました。また、初期研修先の「芳賀赤十字病院」の産婦人科には自治医科大学の先生が派遣で来られており、先生方のあたたかい人柄や、人間関係、雰囲気の良さが決め手となり自治医科大学の産婦人科に入局することを決めました。自治医科大学の産婦人科医局は県外出身者が多く、現在勤務している「佐野厚生総合病院」の産婦人科も、部長、副部長が県外出身者であるなど、出身を問わず、風通しがよく自由な雰囲気も大きな魅力の一つです。

“独り立ち”できる実力を着実に獲得できる研修環境

「佐野厚生総合病院」は地域周産期医療センターに指定されており、産婦人科では緊急症例やハイリスク症例を県内外から広く受入れていることが特徴です。妊娠分娩や、卵巣腫瘍、子宮筋腫といった良性腫瘍疾患、子宮脱、膀胱瘤といった骨盤臓器脱、更年期障害や月経困難症といった女性ヘルスケア分野など、婦人科疾患全般にわたって幅広く対応しています。
常勤医7名体制に加え、当院は「自治医科大学産婦人科研修プログラム」の連携施設となっており、現在3名の専攻医の先生たちと共に診療にあたっています。私の仕事内容としては、週3回の外来(妊婦健診外来・婦人科外来・初診外来)の他、毎週火曜日・金曜日と月1回の水曜日は手術日として週に2〜4回の手術を担当しています。
診療体制は主治医制ではなく、複数人で対応するチーム制を敷いており、初期研修医の先生にもチームの一員として一緒に患者さんを診てもらいます。お産や手術はできるだけ体験してもらう方針であり、その他、将来、消化器分野に進みたい人は急性腹症を診たり、腹腔鏡の練習を一緒にしたり、手術がしたい人は縫合をしてもらったりと、個々の目指す目標に沿って学ぶことができる自由度の高い研修が特徴です。

指導医や上級医と研修医・専攻医の垣根は低く、気軽に相談できる環境にありますし、診療はチーム制であるため様々な先生と関わる機会も豊富にあります。チーム制において情報共有は非常に重要であるためコミュニケーションも活発ですし、小児科との合同カンファレンスなど情報共有をしっかりした上で診療にあたっています。カンファレンスでは役職や経験年数に関係なく、みんなが意見を出し合って診療方針などを決めていますが、専攻医の先生に強制的に意見を求めるのではなく、無理なく自主的に意見や考えを言えるような雰囲気を大切にしています。
私が指導をする際、常に心がけていることは、山本五十六の名言をもとにした『やってみせ、言って聞かせて、やらせてみせ、ほめてやらねば人は育たない』です。産婦人科では研修医・専攻医の先生方が将来、医師としてしっかりと“独り立ち”できる指導・教育に努めており、一人ひとりの特性や興味、目標に合わせて、どんどん経験してもらう方針ですし、私たちがチームとしてしっかりフォローをしているため、安心して研修に臨むことができるはずです。

産婦人科はメリハリのある“働きやすさ”も魅力

産婦人科の魅力は何といっても生命誕生に立ち会えることです。最初はいろんな不安を抱えた妊婦さんが、赤ちゃんと共に笑顔で退院される姿を見ることは大きなやりがいであり、分娩という生命が誕生する喜びは他科では味わうことができません。また、産婦人科は外科分野でもあるため、当初は上の先生に導かれないとできなかった帝王切開が、やがて自信を持ってできるようになり、今度は教える側に立つなど、レベルアップを実感できることも魅力でしょう。

忙しいというイメージの強い産婦人科ですが、それは夜間のお産対応など診療科の特性によるところが大きく、実際はメリハリのある働きやすい診療科だと感じています。当院の産婦人科は月に6〜8回ほどの当直、またはオンコール体制の日がありますが、それ以外の日は17時になると当直担当医に業務が引き継がれ、定時に業務を終えることができるメリハリのはっきりした環境です。当直日も、お産や緊急手術が一件もない日は時間に余裕が生まれることも多く、その間に論文の作成や学会発表の準備、勉強などに時間を使うこともできます。
また、当院の産婦人科は医師7名のうち4名が女性医師であり、一人は子育てをしながら勤務しています。男女問わず育休・産休や時短勤務といった多様な働き方はもちろん、「子どもの行事にはできるだけ参加してほしい」という部長の方針によって、子どもの行事日に休みが取りやすい環境も魅力です。
栃木県は医師数など、医療資源が潤沢とは言い切れませんが、その分、医療の伸びしろも大きく、やりたいことがあればどんどん経験できますし、不足している分野や県内にはない新たな医療を確立させるといった“パイオニア”を目指せる環境にあると思います。私は産婦人科専門医を取得する過程で、オールラウンダーな産婦人科医を目指して幅広い産婦人科領域を経験させていただきました。そして現在は産婦人科の腹腔鏡技術認定医の資格取得を目指して研鑽を積んでいます。知識をもっと深め、技術をさらに磨き、多くの優れた後輩を育てることができる指導者としても成長し、栃木県の産婦人科医療に大きく貢献できる“パイオニア”になれたらと思っています。そうした大きなチャレンジができる環境も栃木県の魅力でしょう。

MESSAGE

進路選択は自分の心に正直に、栃木県はキャリア形成に最良の場です

診療科の選択は自分の心に正直に決めるのがいいと思います。また、勉強をしていてあまり苦ではなかったと感じる分野も自分に合った診療科であり、進路を選択する際の大きな目安になるでしょう。
医師数の多い都会では競争率が高いため、やりたい医療がしたくてもなかなか実現が難しいと聞くこともありますが、その点、栃木県は初期研修のうちから多くの症例を経験することができ、一人ひとりが目指す目標や医師像に向かって着実に前進することができる環境にあると感じています。
どの診療科に進んだとしてもキャリア形成の場として最良の環境にあるとは思いますが、私個人としては一人でも多くの先生が産婦人科の道に進み、共に栃木県の産婦人科医療を盛り上げていくことができたら嬉しいです。

峯積 拓巳先生のオフ

オフは子どもと一緒に過ごすようにしています。栃木県には児童館や公園も多く、「佐野市こどもの国」、「おもちゃ博物館」、「とちのきファミリーランド」、「宇都宮動物園」など子どもと楽しめるスポットがたくさんあり、夏には「井頭公園一万人プール」、冬には「ハンターマウンテン塩原」など、季節ごとのレジャーも魅力です。日を選べば混雑していないのも子ども連れには嬉しいポイントだと思います。

パンフレット「医心伝心トチギ医ズム2024 vol.2」で見る。